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GIDEON STAFF BLOG

京都散策 (その1)「筍づくし」

 洛西の竹林公園は、ゴールデンウィークにもかかわらず、訪れる人も少なく、澄み渡るウグイスの声(初めてその姿を見た)を聞きながら、竹林の茂みでひと時を過ごした。亀甲竹(亀の甲羅の模様がある)、金明孟宗(黄金色の竹)など珍しい竹が約110種類もあり、さながら竹の博物館のようである。この公園内にある川に架かる百々橋(どどばし)は平安時代からのもので、応仁の乱など戦国乱世を超えこの地に置かれている。ちょっとした風景に歴史を遡ることができるのも京都ならではだ。

 少し下ると、正法寺(しょうぼうじ)がある、このお庭がたいそう良く、まるで龍安寺の石庭を眺めているようで、さらに滝と池に通づる景色が見事である。春はその新緑の中に赤、白、ピンクのツツジ、新緑のモミジ、赤のモミジ、紫のカキツバタと色とりどりの花がすがすがしい風に遊んでいる。京都の風情はなんとも贅沢である。古からの仏の教え、美しい庭、歴史的な造形、さらには背景にある山々を借景にした空間、時間の広がりに時が止まったかのように穏やかな静けさを満喫できる。この庭を愛でながらお抹茶をいただき、とてもありがたく感じた。

 さらに足を延ばすと、乙訓寺(おとくにでら)に着く。今年は少し開花時期が早く、咲き終わったボタンを庭師が刈り取っていた。このお寺は聖徳太子の時代からのもので、空海と最澄が密教について法論を交わしたという記録がある。遠くインドから中国に高僧が伝え、さらに中国から日本へ伝承した空海が最澄に伝授したらしいが、解釈が異なり真言宗と天台宗に分かれていったのが、約1200年前のことである。過去を遡り原点が見えてくるのかもしれない。宗論はどちら負けても釈迦の恥。

 古都長岡京の地で、筍づくしの料理を賞味する。料亭が所有する竹林で朝に採った筍が振る舞われる。真っ白な無垢な筍は、全く苦味がなくお刺身で味合う。先付けに始まり十品あまりすべて筍づくしだが、飽きることもなく美味しくいただいた。唯一、最後に出た水菓子が筍でなかったのが残念。