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GIDEON STAFF BLOG

京都散策(その3)「受け継ぐ人」

 たまたま、上賀茂神社の神事に出会うことができた。下賀茂神社の流鏑馬(やぶさめ)は有名だが、上賀茂の神事である賀茂競馬(かもくらべうま)というのは見るのも聞くのも初めて。朝早く宿をでて、上賀茂神社に着くと放送関係者が集まっていた。何事かと聞いてみると、年に一度の賀茂競馬の当日だった。

 早朝より様々な儀式がとりおこなわれ、昼過ぎからこの競馬が始まる。現在では、調教された競争馬に乗っているが、昔は農家の馬を使っていたので、観客席に突如馬が飛び出てきたこともあったという。自らもかつて騎手を経験し、60年間この行事をサポートしてきたご老人の言である。

 代々、競馬の騎手(のりじり)は神社の神主の家系の男性が勤めているそうだ。今回最年少の騎手はなんと中学2年生で、2度目の参加という。老練の騎手に劣らぬみごとな乗りっぷりだった。次世代への継承の思いが込められていた。男系の子孫がいないとこの先どうなるのか、少子化の影響で行事が失くならぬよう願うばかりだ。

 神様が競馬をご覧になり十分堪能されると、帰っていかれる。5本の矛が倒されたことが神様がお帰りになったサインだそうだ。なんとも古式ゆかしき行事である。この行事が922年にも渡り受け継がれてきたことが驚きだ。地元の人々が延々と継承し続けてきたことに頭が下がった。